ティム・バートンには珍しい!?心温まる感動のストーリー『ビッグ・フィッシュ』を分析!タイトルの意味も

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『アリス・イン・ワンダーランド』などの作品を手がけ、少し奇妙な作風と個性的なキャラクターが特徴的な監督ティム・バートン。この記事では、ティム・バートン作品の中では珍しく心温まる感動のストーリー『ビッグ・フィッシュ』を紹介しています。

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あらすじ

妊娠中の妻と暮らしているウィル・ブルーム(ビリー・クラダップ)は、父エドワード(アルバート・フィニー)の死期が近いと聞き、妻と共に実家へと帰省します。

父エドワードは作り話で人々を楽しませる人気者。しかし、そんな父を息子のウィルはよく思っていません。ウィルは成長するにつれ、同じホラ話ばかりする父にうんざりしていたのです。

ある日、ウィルの結婚パーティーで招待客に対していつものようにホラ話をする父親の姿にウィルの不満は爆発し、それ以来ウィルとエドワードは距離を置くようになっていたのでした。

病床でもエドワードは変わらずで、いつものように今までに体験したホラ話を家族に話し、ウィルを呆れさせます。

子供の頃、魔女のガラスの目に映る自分の死に方を見た話や、巨人と一緒に旅をした話。徴兵令状が出て戦地へ向かい、中国で出会ったシャム双生児の美人歌手とロシアやキューバを経由してアリゾナに戻ってきた話など、嘘のような話ばかりするエドワード。

そんな中、父に最後の時が近づいていることを悟ったウィルは、エドワードに「嘘の話だけでなく、本当の父が知りたい」と歩み寄ります。しかし、エドワードは自分を嘘つきのように扱うウィルにショックを受け、2人の溝は広がっていってしまうのでした…。

タイトルの意味

この作品は『ビッグ・フィッシュ』というタイトルです。直訳すると、big fish = 大きな魚ですが、偉大な人という別の意味も持っています。英語圏では、この言葉がこのように使われているようです。

a big fish in a small pond = 狭い所にいるにはもったいないほど偉大な人物(小さな池の中の大きな魚)

映画の中には、父エドワードが幼少期に急激に成長する病気にかかり3年間寝ていたという回想シーンがあります。

この時エドワードは、小さな水槽の金魚は小さくしか育たないが、大きな水槽に入れられた金魚は大きく育つということを知り、「自分は小さな町にいるべきでない。大きな世界で、大物になるべき人間なんだ」と悟ります。このシーンもタイトルの『ビッグ・フィッシュ』と繋がっていますね。

また、fish storyという英語には、ほら話、大げさな話、作り話という意味があります。釣り師が自分の釣った魚を実際より誇張して言いがちなことがこの言葉の語源となっているようです。

『ビッグ・フィッシュ』のフィッシュには、このホラ話という意味も含まれているのかもしれませんね。

これらのことから、映画のタイトル『ビッグ・フィッシュ』には「偉大な人」と「ほら話」という2つの意味があるということが分かりました。

父親のことをずっと「嘘ばかりの人」と思っていた息子のウィル。

しかし、父親の話の中に登場し架空の人物だと思っていた巨人や中国の美人シャム双生児が父親の葬儀に現れたシーンで、ウィルは彼の話の全てが嘘だったわけではなく、むしろ父親は多くの人のために行動し、多くの人に愛されていたということを知ります。

ウィルは父の死後に初めて彼の偉大さを知り、最終的にウィルにとって父親の存在は、ビッグフィッシュ(偉大な人)となったのかもしれませんね。

『ビッグ・フィッシュ』はティム・バートンの家庭環境を反映してる!?

この作品は、父と子の和解がテーマです。このテーマは、ティム・バートンの作品に度々登場しています。

ティム・バートンについてあまり知らないという方は、こちらの記事で紹介していますので、合わせてチェックしてみてください。

⇒ティム・バートン監督って?代表作や生い立ちを紹介

ティム・バートンは『ビッグ・フィッシュの』撮影中である2000年に父親を亡くし、またパートナーである女優のヘレナ・ボナム=カーターとの子供を授かりました。この作品の撮影中に、家族の「生と死」を両方経験していたのです。

この経験は、ティム・バートンが父親との関係を振り返り、家族のあり方を考えるきっかけとなりました。そして、これ以降父と子の和解をテーマとした作品を作るようになります。

父親を亡くしてからティム・バートンが制作した『ビッグ・フィッシュ』(2003年)や『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)は、父と子の和解をテーマとした代表的な作品です。

ティム・バートンと父親の関係は決して良好ではなかったようです。実際に、過去の父親とのギクシャクした関係をメディアに語る場面もこれまでに多くありました。

しかし、心の中では『ビッグ・フィッシュ』や『チャーリーとチョコレート工場』に登場する親子のように、彼自身も父親と分かり合える関係になることを望んでいたのでしょう。

父と子の和解は、ティム・バートン自身にとって成し遂げることのできなかった夢であり、彼は自分の作品を通して、その夢を成仏させていたのかもしれませんね。

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